歯周病を引き起こす4つの因子

今回は宿主因子(私たちのからだ)についてお話しします。

世の中にはしっかりと歯を磨かなくても虫歯や歯周病にかかりにくい人や虫歯にはならないけれど歯周病にかかる人、虫歯は多いけれど歯周病にかかりにくい人など様々です。

その理由のひとつには、生まれつきの私達の体の特徴があります。それが宿主因子(私たちのからだ)なのです。

 

宿主因子とは…

・年齢、性別
・人種
・歯数
・糖尿病などの全身疾患
・歯肉滲出液中の物質
・免疫応答、白血球機能
・炎症反応
・遺伝 など

 

①年齢・性別
現在の日本では歯周病の指標である歯周ポケット(歯茎の深さ)保有者の割合は年齢が増すにつれて高い傾向を示し、45歳以上では過半数を占めます。(厚生労働省「健康日本21」平成30年9月)

また、性ホルモンの増加により若年者でも思春期性歯肉炎が生じ歯周ポケット(歯茎の深さ)が深化することもあります。

性別では女性にみられる特徴があります。
妊娠中の女性(性ホルモンの増加により)
閉経後の女性はエストロゲンの分泌低下では炎症性サイトカインが増加し歯槽骨吸収(歯を支えている骨の減少)や歯周ポケット(歯茎の深さ)の深化に関連する可能性があります。

 

②人種人種民族差の因子は日本ではさほど重要ではありませんが、米国の白人、メキシコ系米国人、アフリカ系米国人では歯肉付着の喪失量(歯茎のゆるみ)、歯周ポケット(歯茎の深さ)の、歯周炎罹患率を比べるといずれも白人が最も低いとされています。
人種民族差は口の中にある口腔細菌叢の違いや宿主応答の差違であったり、とりまく社会環境、社会経済的要因や歯科治療への理解、口腔内関心度などが影響していると考えられています。

 

③全身疾患
歯周病に関係する全身疾患には、免疫力の低下を引き起こす糖尿病、白血病、AIDS等の疾患と自らの骨の密度が低下する骨粗鬆症等が挙げられます。
また、膠原病では歯周組織の代謝にも異常をきたすことから歯周病の症状が悪化すると言われています。

 

④遺伝

代謝遺伝子異常や炎症免疫関連遺伝子の多型性、遺伝子発現レベルなどの異常が関連すると考えられています。
ダウン症候群は歯周病の重篤度が高いことで知られています。

このようにすべての人において歯周病が同じように進行するとは限りません。
歯周病の進行には個人差があり、先天的な因子と後天的な因子などの修飾因子によって様々な影響を受けています。